日記

夏夜

雨の降る夜に傘もささず歩き回ると、自分と自然が一体化したような気分になった。 ずっと昔の時代からこの惑星を循環し続ける水と、そこに染み付いた世界の記憶、その重さが皮膚を通して身体の内側に入り込んでくる。自分が自分でなくなるような感覚。全てに…

滲出

あなたが涙を流した時に、私は綺麗だと思ってしまうかもしれない。 一雫の中に納めてしまうにはあまりにも大きすぎる感情に、憧憬を抱いてしまう。 あなたが血を流した時に、私は美しいと思ってしまうかもしれない。 鮮烈な赤が染み込んだその身体を想像して…

記憶

感情も感傷も、きっと一瞬で消え去っていく。僕は時々寂しさを感じる。あんなに楽しかったことも、あんなに笑いあったことも、きっと忘れてしまう。 何度も同じようなことを繰り返した。その度に僕は心から喜び、悲しみ、涙を流した。何度も、何度も繰り返し…

はじめまして

時は平等に、残酷に進む。 日々の生活の中で感じること、考えたことは刹那的に過ぎ去って、その中で何も残すことなくただ生きていく。そんな毎日に嫌気がさしたのか、ただ新しいことを始めたかったのか、ともかく僕はこの場所を借りて、日々について記録を残…