記憶

感情も感傷も、きっと一瞬で消え去っていく。僕は時々寂しさを感じる。あんなに楽しかったことも、あんなに笑いあったことも、きっと忘れてしまう。

 

何度も同じようなことを繰り返した。その度に僕は心から喜び、悲しみ、涙を流した。何度も、何度も繰り返した、この先もきっと。

 

時々昔のことを思い出す。昔も今も変わらないものがある、その事が嬉しかった。確かに変化していることがある、それが僕の歩いた軌跡だった。これから歩む道に、進む時間に何かを求めているわけじゃない。ただ僕は、歩き続ける。

 

どこまで行っても僕は僕だった。積み重ねた出会いと別れが僕を作った。時間の堆積、数々の流転を目前に、代わり映えなく佇む雲があった。僕ら、真夜中の公園で、光る街灯の下に集まっていた幾つもの過去と未来だった。

 

感情も感傷も、きっと一瞬で消え去っていく。僕は時々寂しさを感じる。幾星霜の先で、何もかもを忘れ去った後に、この身体に残る何かをずっと探している。