透明な光2

無機質なビルが痛々しく突き刺さり、その狭間に埋められた種子。あれは悲しみだ。日陰に育つ、人が生きるという感情の再生産。皆がこぞって水をやるから、花が咲いた。とても綺麗に。

 

流した涙が、流した血が落ちて、そこに芽吹いた感情を愛と名付けた。彼女は花を売る。砕いた心に贖うこともせずに。

 

『この痛みも、悲しみも、きっと愛だから』

 

空白を言葉にして。都市の山影に消える、その目に、その心に、映るもの、架かるもの、もはや知る由もない。

 

夕陽が全てを染める。人、街、世界、全ての積み上げられた罪が、等しく染まる。それがあまりにも唯物的で、そんな愛すらも許せる気がした。

 

全てが赤に染まった

物と命、空と海と大地、善と悪、希望と絶望、生と死、全ての始まりも、全ての終わりも、何もかもが真っ赤になった世界で、僕は「君」だけを見ていたかった。

 

虚しさと寂しさを混ぜ合わせたような色、人々は我先にと宙へ到達しようとする。星々の冷笑、地球、僕たちの苦悩。世界を舞台とした壮大な悲劇に、幕を下ろす。