あなたが涙を流した時に、私は綺麗だと思ってしまうかもしれない。
一雫の中に納めてしまうにはあまりにも大きすぎる感情に、憧憬を抱いてしまう。
あなたが血を流した時に、私は美しいと思ってしまうかもしれない。
鮮烈な赤が染み込んだその身体を想像して、どこか恐ろしくなってしまう。
あなたが心を流した時に、私は残酷だと思ってしまうかもしれない。
一人一人に与えられた運命の、その行く末を想像してしまう。
あなたが命を流した時に、私は涙を流してしまうかもしれない。
その時には、悲しみ以外の感情も抱いていたい。かつてあなたがそうだったように。